利用者の声

Yui-EN User's Voice 04
津市立藤水小学校校長 ※取材当時
平松 有吾
  • 学校

結‐ENが教員の見立て力を鍛え経験の差を埋める

津市立藤水小学校では、特別支援教育の質向上を目指して「結‐EN」を導入しました。教員の見立て力強化と経験差の解消に成功しています。平松有吾校長先生、特別支援コーディネーターの安部真実先生、採用2年目の太田陸翔先生、そして長谷川真理子先生の4名に、結‐EN導入の経緯と効果についてお話をうかがいました。

先生方のプロフィール

※ご所属はインタビュー当時(2025年2月7日)のものです。

平松有吾校長先生

長年特別支援教育に携わり、現在藤水小学校の校長を務めていらっしゃいます。教員の見立て力向上を目指し、結‐ENの導入を積極的に推進されました。導入にあたっては、丁寧な説明と環境づくりに尽力されています。

安部真実先生

特別支援学級のコーディネーターとして、一人ひとりに寄り添った支援を行ってこられました。結‐ENを活用し、客観的な観察視点と効果的な支援プランの選定に取り組んでいらっしゃいます。

太田陸翔先生

採用2年目の若手教員として、日々生徒指導の力を磨いてこられました。結‐ENの82項目アセスメントを通じて子供理解を深め、学級の安定と信頼関係構築に成果を上げていらっしゃいます。

長谷川真理子先生

教職歴10年の二年生担任として、低学年児童との効果的なコミュニケーション方法を追求されてきました。結‐ENの具体的プランを実践し、学級全体の安心感醸成に取り組んでいらっしゃいます。

結-EN導入前の学校の課題
見立ての力を高めることが課題でした

結‐ENを導入する前の藤水小学校の課題は、教員の「子供を見立てる」力量の差を埋めることでした。特に経験の浅い教員は、生徒指導の場面でどこに着目すべきか分からず、多くの戸惑いを抱えていたようです。

「私たちの学校では、『この子はなぜこういう行動をとるのだろう』『どのような支援が必要なのか』といった見立てに基づいた生徒指導のスキルをさらに向上させる必要がありました」と平松校長先生は振り返ります。組織的な対応や指導体制も改善の余地があり、特別な支援が必要な児童への具体的な対応策の充実が求められる状況だったといいます。

経験を積んでいる途中の採用2年目の太田先生は、子供の行動の背景を読み取ることに課題を感じていました。安部先生も特別支援コーディネーターとして、児童それぞれの課題に応じた対応にはまだまだ苦慮することも多いとのこと。長谷川先生は低学年児童との意思疎通の難しさを実感し、より具体的な指導法の必要性を認識していたようです。

結-EN導入の決め手
教員経験の差に関わらず支援できるシステムだと確信しました

結‐ENの導入を決断した最大の理由は、82項目のアセスメントによる客観的な見立てと具体的な支援プランの提示にありました。平松校長先生は、教員経験などの差異に関わらず効果的な支援を実践できるシステムに大きな可能性を見出したのです。

導入にあたっては、職員との丁寧な対話を重視しました。なぜ結‐ENが必要なのか、どのようなメリットがあるのかを養護教諭や特別支援教育コーディネーターに詳しく説明し、学校全体での理解を広げていったそうです。校長先生自ら率先して声かけを行い、教員が日常的に結‐ENを使用できる環境づくりに努めました。

「すぐに使えそうなプランから試し、全体指導の中でできることから取り入れました」と長谷川先生は実践方法を工夫。
見通しがつきにくい児童には、簡単な予定を黒板に書くといったプランを試したといいます。安部先生も、そのような児童では複数の教育ニーズが共通して提示するプランについて優先的に取り組むなど、段階的なアプローチを心がけていました。

結-EN導入後の変化
子供を見る視点が明確になりました

導入から一定期間が経過し、藤水小学校では様々な成果が表れています。最も顕著なのは、教員の見立て力の向上です。

「82項目のアセスメントに答えたことで、今年一年はすごく勉強になりました。子供に、どんなプランをすればいいか具体的に書かれていて助かります」と太田先生は語ります。生徒指導の視点が明確になり、自信を持って子供と向き合えるようになったことが伝わってきました。

安部先生は結‐ENによって子供たちをより客観的で均等な視点で観察できるようになった点を高く評価しています。具体的な行動レベルで示された評価項目はチェックしやすく、点数化によって子供の状態変化も把握しやすいと感じているようです。

長谷川先生からは、声かけの方法を変えるだけでスムーズに指示が伝わるようになった事例や、不登校傾向にあった児童の登校日数が増加した実例が報告されました。

この児童は、結‐ENのアセスメントから「見通しが持ちにくい」という特性が明らかになり、「一日の予定を視覚的に示す」というプランを実施したところ、学校生活への不安が軽減され、登校への意欲が高まったとのことです。

平松校長先生は、結‐ENが教員間のコミュニケーションを促進する効果にも注目しています。子供のことで困った際に結‐ENを話題にして相談し合う機会が増え、チームとしての指導力が高まっているとのことです。

学級全体の雰囲気や人間関係が改善しました

結‐ENの効果は特別な支援が必要な子供だけにとどまりません。学級全体の雰囲気や人間関係の改善にも大きく寄与しているのです。

「個々の児童へのアセスメントを通じて、学級経営全体にも良い影響が出ています。特定の児童への指導だけでなく、学級全体にとっても安心できるような配慮を意識するようになりました」と長谷川先生は話します。

ある学級では、支援が必要な児童に対して周りの子供たちが自然と声かけをしてくれるようになったという変化が見られました。子供たち同士の関わりが変わることで、学級全体が温かい雰囲気に包まれていくのです

「子供と先生の距離が近くなった」という声も聞かれ、教育環境全体が良い方向に変化しています。

個別の指導計画作成の負担軽減も大きな効果の一つです。教育プランが言語化されることで、特別な配慮が必要な児童への指導計画作成がスムーズになりました。安部先生は個別の指導計画作成において「何を目標にすべきか」「どのような支援方法が効果的か」といった判断に迷うことが減り、心理的な負担感が軽減されたと評価。

さらに通常のクラス担任との連携もスムーズになり、学校全体での支援体制が強化されているといいます。

結‐EN活用で得られた負担感の軽減によって生まれた時間的・精神的なゆとりは、子供たちとじっくり向き合う時間の増加につながっています。教員が余裕を持って子供と接することで、教育の質そのものが向上する好循環が生まれているのです。

ベテランの知恵を若手に伝える橋渡しにもなっています

結‐ENは学級経営の改善にも大きく貢献しています。子供たちが安心して学べる環境を構築できるようになり、特別支援教育の専門性も高まりました。その結果、インクルーシブな学校づくりが着実に進んでいます。

先生と児童のイメージ

「ベテランの先生から教わった教育技術や生徒指導のノウハウがものすごく詰まっている」「迷った時に、その場で対応の仕方を見ることができる」という評価が教員から寄せられています。結‐ENは長年の教育実践で培われた指導のコツや見立ての視点を、誰もが活用できる形で提供することで、経験の差を埋める役割を果たしているのです。

経験の浅い教員でも支援を理解し、実施できるようになり、生徒指導面でのスキル向上や新たな気づきを促してくれます。また、これらの変化によって、時間と心のゆとりが生まれたことも大きな成果です。

ゆとりは、保護者や地域との連携を深め、子供たちを包括的にサポートできる体制の構築につながっています

藤水小学校では、学校全体で子供たちの成長を見守り、子供たちが主体的に学びに向かう姿勢を育んでいます。結‐ENは、まさにそのような学校づくりに大きく貢献しているといえるでしょう。

今後の展望
結‐ENを活用し、一人ひとりに寄り添った教育を進めていきます

藤水小学校では、今後も結‐ENを活用しながら、子供一人ひとりに寄り添った教育実践を継続していく方針です。

結‐ENは単なるツールではなく、私たち教育者の『子供を見る目』を鍛え、教育の質を高めてくれる貴重なパートナーです」と平松校長先生は力を込めました。

さらに、結‐ENのアセスメント結果を参考にしながら、家庭との情報連携強化も視野に入れているとのこと。子供たちを包括的にサポートできる体制の構築を目指し、子供たちが主体的に学びに向かう姿勢を育む学校づくりに尽力しています。

藤水小学校の事例からは、結‐ENが教員の見立て力を高め、経験の差を埋めながら、子供たち一人ひとりに適切な支援を提供する可能性が明らかになったといえるでしょう。

若手教員の学びを支え、長年の教育実践で培われた指導のコツや見立ての視点を共有し、そして何より子供たち一人ひとりへのきめ細かな対応を可能にする結‐ENの活用は、今後の教育現場に新たな可能性をもたらす存在として期待が寄せられています。